スキーマ
なんども聞いた音楽にうんざり
見慣れた景色にうんざり
朝にうんざり
夜にうんざり
繰り返しにうんざり
予期にうんざり
瞬間にうんざり
明日に、自分に、さようならしても、そこで待ってるのが繰り返しだとしたら、ぞっとする
清張と青春 ④
十代半ば、母親とは衝突が絶えなかった。
ある時は殺意を抱き、ある時は「死んでやる!」と叫んだ。思春期の大人への反撥、世の不平等や理不尽に対する嘆きである。そこで殺してやろうだとか死んでやろうだとか、物騒なことを考えていた時期もあった。
しかし、当時は真剣になって親殺しの肩書きを欲した。殺害方法のヒントを得るためにあまりに夢中で読み込んだのでカバーはビリビリになっていて、それを発見した母親が言うことには、「流石私の子供(まさか娘に殺害計画を練られているとは気づかず自信たっぷりに)」なのであるから「流石私の母親」なのである。
ビリビリのカバーはとっくに捨てたので丸裸になった文庫本、しかもページは珈琲に浸したみたいに茶色い、ページをめくる度微かに立ち上る実家の煙の匂いは当時の記憶を鮮明に呼び起こす。
六畳の寝室や母親への反撥からくる殺意。今となっては跡形もなく消えてしまったが、「張り込み」を読むといつでも思春期のまっすぐな反骨精神を思い出す、それはまさに私だけの青春のバイブルなのだ。
ママの作った話
昔ある所に、お母さんと、2人の幼い娘 花と緑が仲良く暮らしていました。
ある日3人の暮らす家に狼が訪ねてきてお母さんにこういうのです。
「幼い娘は食べ頃だ、おいしいに決まってる。だから2人を食べにきた。」
お母さんは困りましたが、とりあえず狼を外で待たせておくことにしました。
お母さんは自分の体をハサミで二つに切り分けて、外の狼に呼びかけました
「わたしが花と緑です。めしあがれ。」
お母さんはこうして花と緑を狼から守ってあげたのでした。