袋小路

袋小路 物事が先に進まない状況になること。

清張と青春 ③

 松本清張の「張り込み」には「張り込み」の他に「カルネアデスの板」「一年半待て」「声」などが収録されていて、私たち人間誰もが感じたことのある"殺意"の行方が丹念に描かれている。

 「張り込み」を文学好きの母親に勧められて初めて読んだ当時、私は14歳だった。勿論不気味な程に現実味を帯びた人物描写や周到に計画された殺人は女子中学生が物語に求める痛快さ、ロマンチシズムとはかけ離れていた。しかし気づくと私は松本清張の描く犯罪小説にある種の希望の光を見出していた。